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said:日和伯父様





日和ちゃんと初めて会った日のことをよく覚えている。

日和という名前がピッタリな陽だまりで温かいその日に

朝陽の可愛い末っ子として誕生した朝陽の一人娘は小さな

女の子だった。生まれた時からよく笑う女の子でその笑みは

朝陽によく似ていて可愛かった。

女の子が欲しいなと言っていた朝陽と未依ちゃんの待望

の女の子とあってはとても大事にされた。

長男の朔夜も次男の透真も本当に可愛がってた。

親子揃ってすごい可愛がってた記憶がある。

どんなに辛い時でも日和ちゃんの笑顔を見ると

誰もが疲れを吹き飛ばして笑った。

それが、日和ちゃんの印象だったからこそ

今になると恋しくなる。

あんなによく笑っていた日和ちゃんがいつの日か

忽然と笑わなくなった。

それはきっと日和ちゃんが物心を覚えるずっと前のこと。

あまり詳しい事情は分からないが、朝陽はすごく

落ち込んでいたと思う。

いつも天使のスマイルひーちゃんと親バカっぷりを

発揮していた朝陽が酷く悲しんでいた。

透真に至っては大泣きしていたぐらいだ。

余程のことがあったんだと思ったが、

朝陽にそれを聞くことは出来なかった。

家族が揃ってその理由をひた隠しにしている。

誰もその理由を言う人が居ない。

何があったんだって聞きたかったが、俺が口出し

出来る立場でもなかった。

それに忙しさを理由に俺には関係ないことだと

思ってしまったせいもある。

いつだったか、息子のことに悩んでる時に日和

ちゃんはアドバイスをくれたっけ?

お陰で前ほど息子に対しての接し方が分からない

わけじゃなくなった。

日和ちゃんは、すごくいい子だからこそ一ノ瀬を

継がせたくないのが本音だ。

他に何を言っても一番の理由は日和ちゃんには

辛い思いをさせたくない。