こんなの京君に嫌われたって文句の一つも言えるわけない。

「sorry,sorry,sorry,sorry,sorry」

言いながら頭を地面にガツンガツンと打ち付けた。

「それギャグ?」

「京君、一瞬怖いって思ってしまった。」

本当は殴られてボロ雑巾のような不始末に

されると覚悟を決めたつもりだったのよ。

でも今思うと、殴られるのが怖かったんじゃない。

怒られて何を言われたって耐えられる。

だけど、あたしは守れないかもしれないと思った。

そんなことではこの先が思いやられる。

「京君の心を守れなかった自分自身に恐れた。

自分の言葉に・・ううん無責任さに身の恥を知った。」

あたしの言葉1つで京君があっという間に怯えたんだ。

それが何よりも恐ろしく酷く怖く思えた。

「あたしは京君に殴られようと罵倒されようと

そんなことを怖く思ったりしない。だけど、守るって

言ったのにあたしが京君を傷つけたの。それが・・

悔しくて・・情けない。」

「そんなこと?」

「そ、そんなことじゃない!会わせる顔もないわ。

どうぞ、煮るなり焼くなりお好きになさいませ。」

もう自棄糞だった。

「だったら、殴るよ。」

うぇ!?マジか。確かに煮るなり焼くなり好きになされ

とは言ったが顔面殴られるのは・・この顔がこれ以上

悪化したらあたしのポジショニングが!!

腕を振り上げた京君にまた条件反射として目を瞑った。

そしたら、何か布が擦れるような感覚がして

そっと目を開けてみた。

「ありがと。」

素っ気なく目を伏せて言葉を発する京君はワイシャツに手を

すっぽりと入れてほっぺを撫でられた。

手ではないにしろこれは新たな進歩!!

「そんな感謝されることなど・・むしろ殴られるかと」

フェイントされるとは思っても見なかった。

「ひよこ、守ろうとしたんだろ?」

「だって、京君のこと守るんだ!」

「そう言ってくれたの千治と稜さん以外で

初めてだったから嬉しかった。」

やっぱり照れて顔をそっぽ向く京君はあたしの

知っている京君な気がしてホッとした。