横顔はやはり美しくて惚れ惚れする。

「昔の話をしてもいいかな?」

「は、はい、是非ともお聞かせ下さいな。」

「何故かな、君を見ていると癒される。」

「えっ!?」

「あ、俺には奥さん居るからね。女性として

見ているわけではないんだ。」

「は、はい。」

奥さん、居たのね!!

それに驚きだわ。まぁ、こんなに素敵なお方

ほっとく方が可笑しいもんだ。

一体、どんな奥様なのかしら?

「俺はね、ろくな人間じゃない。」

「そ、そんな素敵なお方ではないですか?」

「そう思ってくれるのは君と家の家内ぐらいだな。」

窓の移りゆく景色はどこか見覚えのある風景だ。

西地区から出てしまったわけではなさそうだ。

「日和ちゃんは初対面の俺を良い人だと言ってくれ

たけど、それこそ真逆な人間だ。」

「えっと・・・?」

「あまり人に堂々と言えるような仕事でも

ないし、分からないかな雰囲気的に?」

ダンディーさんの瞳が漆黒でやっぱり誰かに

似ているような気がして見逃せなかった。

何も聞き落としがないように隣に座って

話を真剣に聞いた。

「分かりません、失礼かもしれませんがダンディー

さんがどんなご職業に付いているかは興味がありません。」

「そうか。」

「ですが、お人柄には興味があります。

何となく誰か分からないのですが、知っている人に

ダンディーさんは似ているような気がします。」

「へぇ、それはどんな人かな?」

「そ、それが思い出せなくて・・すいません。

ちょっと、捻れば思い出せそうなんですけどね。」

うむ、自分の記憶力をナメてた。

勉強に関しては記憶力がある方だけど、

日常的になると見落としが結構あるのかもしれない。

でも、微かにボヤけて誰かの面影が見え隠れする。

ダンディーさんとその人がよく似ていると思う

部分もはっきりとは分からなくて結局答えに

たどり着いていないわけで未だモヤモヤして

何だかスッキリしない。