「おいっ、妄想してんじゃねぇぞ。」

「あたしから妄想を取るなっ!」

「取ってねぇだろうが!!」

慶詩が以前にも増して突っかかる。

「やだわ、恐ろしいったら恐ろしい。」

「おめぇがな。」

「日和ちゃん、無理しなくていいからね。」

馨君がトポトポハーブティーを淹れてくれる。

「ナイスガイだよ、馨君!」

「そう?」

相変わらず、馨君の優しさに心が沁みる。

「そうだ、ヒヨリン。欲しいもの決まったか?」

「むむ?」

ユウヤ、いきなり何を聞き込みしたいんだ。

さては、お主日頃の感謝を込めてあたしに

プレゼルという企画を練っているのか!?

「ん、ターヤンとやっちゃんが言ってたろ?」

「そんなこと言ってたかしら?」

頭の記憶の中から引っ張り出す努力を始めた。

うーんと、確かにそのようなことを言ってたな。

文化祭の後にサユと欲しいもの考えといてって

それっきりしばらく会ってないから今に至る。

「ターヤンさんとやっちゃんさんはお元気で

いらっしゃるのかね?」

「はぁ?元気だろ、アイツ等。」

慶詩が素っ気なく答えた。

「そうなんだ、やっちゃんさんとターヤンさん

に今度会いに行ってもいいかね?」

「いいと思うよ。2人も日和ちゃんのこと

気に入ってるみたいだから嬉しがると思うよ。」

「そ、そんな気に入られるとはて、照れるわ。」

「うん、多分そういうところだよね。」

馨君が柔らかい笑みを浮かべてクッキー食べると

聞いてきたから1つ貰った。

一口齧ると甘さにビックリして食べかけの

クッキーをユウヤに投げつけた。

「ひぃぃぃ、何だこの砂糖みたいなクッキーは

これをクッキーと呼んでいいのか!?」

「あ、ごめん。それ、千治用のクッキーだった。」

か、馨君、あたしを殺す気かね!!

吐血しそうなほど甘ったるかったぞ。

口の中が甘くて気持ち悪い。

ユウヤは投げられたクッキーにビビってたが、

そのクッキーを手に困っていた。

どうやら、ユウヤもその砂糖クッキーを

恐れているらしい。