あぁ……なんか恋人みたいだ…
郁馬からの誘い
郁馬から触れられる
他愛もないことで笑い合える
もしかしたら、俺たち、いつか……
「い、郁馬は…なんで、そーいう事を好きなヤツに言えないんだよ…っ」
「いや、好きなヤツだからこそ言えないことあるだろ。翔太だから言えんの」
そう言って、また日曜日のことはメールする、とだけ俺に言い残し郁馬は帰っていった。
好きなヤツだからこそ言えないこと。
…だよね。
さっきまで、もしかしてって思っていたことが一瞬にして“有り得ない”に変わった。
俺には言えて鈴には言えない。
それはきっと
俺が利用して、ずるして、やっと手に入れた立場には、一生叶わないものだ。
うっすらと月が見えだした頃
鈴と俺の違いを改めて考えさせられた。

