別れの場所に着いて
できるだけフツーを装って笑い、手を離す。
じゃあね、そう言おうとしたら
郁馬が先に喋りだした。
「翔太。日曜日ヒマ?
空いてるなら、映画とか観に行かない?」
少し照れ臭そうに言うのは、きっと
友達以上と意識しているからなのかもしれない。
こんな俺に……少しでも意識しているなら、それは、すごく幸せなこと。
「あ、空いてるよっ」
俺も郁馬みて、いつも以上に意識して
声が震えた。
そんな俺みて郁馬がクスッと笑って
俺のおでこに唇を寄せてきたことに驚いた。
「なに緊張してんだよ…ばーか」
「いや、お前に言われたくないし」
そんな会話して余計に照れくさくなって
二人で笑った。

