なんで、まだ練習してるんだろう?
受験、大丈夫なのかな。
弥生が出ていったドアと先輩を交互に見ながら心配していると、郁馬が笑いながらやって来た。
「どうした? おろおろして」
「あの先輩って受験じゃないの?」
首を傾げて陽向先輩を指差すと、あぁーと郁馬が声を出して、そのまま足を進めた。
「あの人はほぼ合格確定だから。どこの大学かは聞いてないけど、金持ちが行く大学いくんだってさ」
「それって、先輩ってお金持ちってこと…だよな?」
「そう。有名会社の社長の息子。それに頭もいいしね」
体育館でて正門を抜けながら
郁馬はそう言って、俺の頭を撫でた。
「へえー、なるほどね」
だからバスケ部に遊びに来てるわけか。
他にも先輩いたけど、あれはバスケで推薦でも出すのかな?とか自己完結して、その話は終わらせた。

