そして、よく頭を撫でるようになった。
俺に触れることが増えた。



たった、それだけの変化が
俺を無性に嬉しくさせた。


郁馬の失恋を利用した結果であっても
俺は郁馬の側に居られてるし
好きだとか言ってないけれど、恋人のようになれたんだ。



そう思うと自然と口元が緩んだ。




「…? なんだよ、なにニヤけてんの?
変なやつー」



「べっ、べつにニヤけてないし。これが俺のフツーの顔だ」



「その顔がフツーとか…お前いつも、そんな笑わないじゃん」



ははは、と前の泣き顔が嘘のように笑う。


そう。
俺はお前にずっと、こんな風に笑っていられる場所でありたいんだ。