次の日も、またしつこくヒナが
デートデートと言ってくるものだから
僕は逃げまくっていた。
逃げて逃げて。
ヒナの顔も見ないで。
バスケの時は仕方ないけれど
バスケが終わると
しょーたとは話さないで、すぐ帰る支度をして体育館を出ていった。
ヒナが呼び止めた気がしたけど
僕はすべて無視をした。
「なにしてんだよ、僕は…」
これじゃあ、逆に
意識してるみたいじゃないか……
ばかみたい。
小さく笑っていつもの道を歩く。
小さい頃はよく女の子と間違われた。
今はだいぶ減ったけど。
それでも目はタレ目だし
身長も小さめだし…
いっそのこと女の子になりたかった。
そうしたら、きっと………
「おい、弥生」
名前を呼ばれて振り返り、後悔して
また進んだ。
しかし、腕を掴まれ塀に押し付けられたら
僕だって動けない。
あーあ。なんで
僕は、こんなに無力なんだろう。

