現在の時刻は13時前。
歩いてすぐのカフェへ二人で向かう。腹、減ったし。
翔太くん見つめても、こっち見てくれないのは分かってるから俺もぼーと前を見る。
沈黙になっても、こんなに穏やかな気持ちでいられるなんて…落ち着くよ、翔太くんといると。
…なーんて感傷に浸っていると見覚えのあるやつが、ある店に入ろうか入らまいか迷っていた。
サラサラの黒髪。
スポーツしてるくせに、ひょろっとしてて色が白くて。
昔はもっと、可愛かったはずなのに。
「弥生」
昔も今も、見ていると胸の奥がざわつく。
いらつく。
無意識で声にしてしまった名前に、本人も呼ばれたと思い俺を見る。
澄んだ真っ黒の瞳。
もう、なにも…映さないような冷たい瞳。
「弥生」もう一度、呼んでみれば
「……しょーた」
…無視された。
目を逸らして、翔太くんを見る弥生。

