何気ない会話だったと思うんだけど、勘繰ってしまう俺はやっぱりおかしいのかな。
だってさ、翔太くんの濡れた髪見たら、ある意味風呂あがりみたいだし…照れて頬赤いし…身長差で上目遣いだし…色気がでているわけで。
そうなると郁馬くんが予想して翔太くんにタオルを…考えすぎか、きもいな〜、俺。
「郁馬くん世話焼きなんだ〜」
「そうなんですよ!アイツ、自分のことは無関心だったりするのに…。だから自分がモテてるとか思ってないし…」
「気が気じゃないよなぁ」
「はい!俺がどんな思いで告白されてるアイツを待ってるかとかアイツはきっと知らない……、すみません!剛さんといるのに郁馬の話ばかりで…さぁ、次へ行きましょ」
慌てたように話を終わらせた翔太くん。話すことも郁馬くんのことが多いし、きっと考えていることも大半が郁馬くんのことなんだろうなぁ。悔しい…な。
思い知らされる郁馬くんと俺の差に、胸がチクッと痛くなる。
水族館を出ると、空は曇っていて…自分の心のようだった。
「曇ってきたな…降らなきゃいいけど。翔太くん、傘もってる?」
もし降り出したら、俺が翔太くんの家まで送っていく。そういった口実が作れるように、一応傘はもってきてる。
「あ、折畳み傘もってます…天気予報で降るって言っていたので」
ちっ、作戦失敗。

