8月中旬。


天気予報では雨が降るかもしれないと予想されていたが、神は俺を応援しているのか、晴天となった。




時計台で11時。


叶わないと思っていた。

断られるものだと思っていた。



だけど、あっちもこっちも優しいものだから……


だからきっと、
今があるのだと改めて思う。



…ほら。


まだ11時になって5分しか経っていないのに、小走りで汗流して申し訳無さそうに俺を見る後輩が、その証拠だ。



「すみません」と遅れたことに対して、謝って息を整えている。


俺が付き合ってもらうのだから、謝る必要なんてないのに……律儀だなぁ



そんなこと思って小さく笑っている俺は、その彼を前よりももっと愛しい、とか感じちゃってんのかなぁ


想い人がいるのに、俺なんかとお出掛けしてきちゃって……しかも、それを郁馬くんも許しちゃうだなんて……


二人とも、優しすぎるよなぁ……馬鹿じゃん。