「―――…い。…弥生?もう夕方だよ」
「…ん」
うっすらと目を開ければ、青でまとめられた自分の部屋とは大きく違い、茶色や黒で彩られた部屋が広がっていた。
ぎしっとベッドの軋む音がして横向きの体を天井へ向けると、夢の中でみた冷たい先輩の顔が今は困ったように笑っていた。
…ここ、どこ?
「はぁ。困るよ、弥生ちゃん……俺の理性なめてる?」
「ヒナ…、」
「まだ寝ぼけてる?かわいーなぁ」
そのあとのヒナの話を聞き、ここがヒナの家だと知る。そっか。休みで行くとこ決められなくて、とりあえずヒナの家来たんだっけ。
てゆーか、なんで僕の上にヒナは覆い被さってるの。
…じゃま。
「退いて。重い」
「おはようのキスまだだろ?」
「しなくてい………ん、…ばか」
僕の許可なしに唇塞がれて、ぺちっとほっぺた叩く。
僕の意見、聞かなかった仕返し。
それなのに
…なに、幸せそうに笑ってるの、この人は。

