バシッ―――。
ヒナに振り払われて
床に尻餅付いて、見上げた。
「俺に触んな」
あぁ、これは紛れもない“拒絶”だ。
ぽたぽた涙を流しても、いつものように君は頭を撫でてもくれないし、抱き締めてもくれない。
それでも図太かった僕はへらりと弱々しく笑って告げるんだ。
「すき」だと。
そのあとに返してくる君の言葉なんて、分かりきっているというのに。
「俺は弥生ちゃんを、そんな風に見たことない」
それが最後に聞いた君の言葉だった。
そのあと、剛先輩となに食わぬ顔で去っていき僕は一人になると笑い者だった。
公開告白した挙げ句、フラれ
突き飛ばされたのだから。
そして、それは一般的な恋愛じゃない。
ヒナも僕も男だったのだから。
いじめられっこが勘違いして
助けてくれた人に告白しただとか
もともと遊びで付き合っていて
陽向先輩が捨てただとか
付き合ってると勘違いした後輩を
可哀想に思った先輩が合わせていただとか
他にもいっぱいあったけど、変な噂が流れたのは確かだった。
日に日に噂は広まって
僕はまた、からかわれるようになった。

