しばらくの沈黙のあと君は笑った。
目を細めて口角上げて、僕を見つめて。
それなのに、どうしてこんなにも……君を怖いと思うんだろ。
「俺の教室来ないでくれる? 迷惑なんだけど」
あ、やば。
視界が歪む。涙で。
そんな僕見て「泣くとか、男?うざいよ」ってヒナは言って僕の横を過ぎて教室を出た。
やだ。
行かないで。
だって、僕のこと
この前は受け入れてくれたじゃん。
キスしてくれたじゃん。
特別だって言ってくれたじゃん。
ねぇ、どこまでが……ウソ?
「ヒナぁ、待って……待ってくださいっ」
ひくひくとしゃくり上げてヒナの後ろに引っ付いた。
「ヒナ……先輩、だいすき……だから行かないで……っ」
きっと周りにいた人は僕の告白が聞こえただろう。
それくらい僕は回りが見えていなかった。
それでも、今は
ヒナが、ヒナだけが必要だったんだ。

