ひ、な……?
ヒナの深く遠くを見た瞳に吸い込まれそうになってると、ヒナのクラスメイトが僕のこと色々言ってた。
「コイツ、陽向とよくいる後輩だろ?」
「そーそー。いじめられてる……あ、陽向が助けたんだっけ?」
「んまあー、可愛い顔してるから、仕方ないんじゃね?」
くくくっと笑う先輩たちが恐くて縮こまる。
こわい。
ヒナ以外みんなこわい。
ヒナが良いやつだからって紹介してくれたから、剛先輩たちとは仲良くしていられるし、よくしてもらってる。だけど、僕が本当に信用できるのは……ヒナだけ、なんだ。
ヒナ以外、いらない。
ヒナがほしい。僕だけのものになってくれたらいいのに。
俯いてネガティブな考えを巡らせていたら、僕には触れずクラスメイトの肩を叩いてヒナが
「それ以上、この子の話しするの、やめてもらってい?」
優しく、だけど低く言い放った。
それを聞いて「お、おう……」と引いていった人達が去っていくのを見て安堵する。
やっぱり、ヒナは優しい。
「ヒナ……、ごはん一緒に食べよ?」
人がたくさんいるにも関わらずヒナと呼んで後悔したけれど、4日も離れていたのだから仕方ないと言い訳して
お弁当箱をヒナに見せた。
ヒナのも、作ってみたんだ。……重い、かな。

