弥生が隣でぶつぶつ言ってるが、そんなの、もう俺の耳には入らない。
「どーしちゃったのかなー……て、しょーた?」
弥生の存在わすれてズカズカと教室に入り、アイツ目掛けて足を運ばせた。
「おい」
なに寝てんだ、ぼけ。
絶対に寝てないであろうソイツの肩がピクリと動いた。
「郁馬のこと心配して朝田さん話しかけてくれたのに、その態度はないだろ」
さっき郁馬を心配してくれた朝田さんに、ペコリと謝って郁馬を睨み付ける。
すると、ソイツは俺を見て
俺と目が合うと、ガバッと立ち上がり、ギュッと抱き締めてきた。
「郁……馬…」
「…翔太」
郁馬の状態を再確認して、俺は朝田さんに
郁馬を早退させると告げて
腕ひっぱって教室から出ていった。
顔は見えなかった。
だけど、郁馬は……
「…はぁ、もう誰もいないよ? 郁馬」
学校でて、近くの路地裏で。
郁馬は声を上げて泣いた。

