俺を押し退けないまま、郁馬は大袈裟なほど大きな溜め息を吐いた。
「……翔太、バカだな。俺が同情だけで一緒にいると思うわけ」
「そりゃあね」
そうでないと、お前は俺と一緒にいようとは思わないだろう。優しいお前なら、なおさら。
目ぇ逸らせて、下唇噛んでいたら
急に郁馬の頭がベッドから持ち上がった。
ふわりと郁馬の香りがして、至近距離で目が合って
全身が熱くなる。
「これが俺の答え」
……いみ、わかんないし。
なんで今……キスすんの。
俺が唖然としてるの見て、郁馬は小さく笑った。
「……かわい。翔太さ、俺とすーちゃんの仲を取り持とうとしてたけど、ムダだから。俺すーちゃん振っちゃったし」
「え、……えっ!? なんでだよ?あんなに好きだったじゃんか!」
「ははっ、なんでだろーな。
それだけ翔太に惹かれたから、じゃねーの?」
いやいやいやいや。
それ笑い事じゃないから。
全然笑えないから……やべ、嬉しくてまた泣いてしまいそう。
「俺は郁馬と友達はやめたい、お前と“好き”が違うから」
「一緒の“好き”ならどうなんの? 友達兼恋人でよくね?」
そのあとに、お前が言った言葉に
郁馬を押し倒した手に力が入らなくなって、郁馬の胸板にすがりついた。
あぁ……夢でも見たことないよ、こんな奇跡的で夢みたいな現実。
「とりあえず、好きだ。付き合おう」

