今度は溜め息はいて、俺に呆れる郁馬。
ふは、困らせてばっかだな、俺……。
「ありがとう……」
「おう」
「もう平気だからさ。その、もう帰れよな?」
空が紫に染まってきてるし。
俺、まだふらふらするから歩くの遅いし。
お前の隣、歩く資格もないし。
「は?なに言ってんの。帰るぞ、一緒に」
……どこまで人が良いんだ、コイツは。
これは本格的に、仕掛けるしかないか。
ぐいっ
郁馬の腕を引っ張り、自分の方へ引き寄せてベッドに押し付けた。
にやり、と俺は笑って郁馬の額に自分の額をくっつける。
「避けないと……襲うよ」
早く俺のこと突き飛ばすか、殴るかしないと
お前……危ないよ?
俺はそういう人間だから。
「やってみろよ」
不敵に笑う俺を逸らさず見つめた、そいつは
男前にそう言って構えていた。

