「翔太、おはよう」




今時の音楽を聴きながら
登校していた俺をアイツが呼ぶだけで


もう、音楽なんて
耳に入らない。




「おはよう」



音楽を聴くのを止めて、俺が振り返るとソイツはにこりと愛想よく笑った。




「何の音楽、聞いてたんだ?」



「んー……聴く?」




「お、聴く聴く」




アーティストの名前が瞬時に出てこなかったので、イヤホンを相手に渡す。



すると、ソイツは嬉しそうに俺との距離を縮めた。