「おい、翔太」



「……っ、なに?」



授業中なのに間近で、郁馬の声が聞こえて
いよいよ重症だなーとか思っていたら、ほんとに郁馬が俺の横にいた。




「お前ボーとしすぎ。もう昼休みだぞ?」




……え?はや。

急に現実に戻った俺の頭で今の状況を整理して、机の上を見れば、ノート真っ白でシャーペンを握ったままだった。




「……何してんだ、俺」



「何って勉強だろ? つか、翔太はノートじゃなくて、頭で覚える派だったのなー」



「……」



そんな高度な暗記法できるかっつの。

だいたい、さっきの授業の記憶ないのお前のせいだし。





成績はいいのにバカなんだよなーコイツ。
そーいうとこも、好きだけど。




「とりあえず、飯たべる?」



「あっ、俺さ今日弁当ないから購買行ってくる」




そう言った郁馬に、着いていこうか?と問えば
すぐ戻ってくるから待ってて、と言われた。



走っていくソイツを見て、小さく笑った。




待つのはいつも、俺。


いつか……待っても、戻ってこなくなるのかな。