「翔太」
突然、第三者が現れて、そいつが朝のように走ってきていたことに軽く笑う。
なに、焦ってんの。
べつに鈴とは何もないのに……
「郁くんっ、ゆりちゃんに呼び出されてなかったっけ?」
「あ、すーちゃん……それはもう終わったよ」
「そうなんだ!
それじゃ、あたし達も戻ろっか。ね、翔太?」
可愛らしく笑う今の鈴から、さっきの会話が想像できない。
まぁ、郁馬にはバレたくないだろうけど。
「なに話してたんだ?」
こっそり郁馬に耳打ちされて「内緒」と笑う。
答えられるわけないじゃん。
お前らが両想いだなんて、郁馬はまだ知らなくていい。
これは、勝手な俺のワガママだけどね。

