「それだけお前が鈴を好きってことなんだよな」
「……」
「郁馬?」
「え?あ、ああ。そうだと思う」
なんだよ、“思う”って。
そうなんだろ、ばーか。
なんか改めて言葉にすると
また、目尻が熱くなって、ああ……やばいな、ってなって忘れたくて笑った。
「ふはっ、郁馬、脇汗やばっ(笑)」
「……うおぉっ!! ほんとだ!
まだ誰も来てねぇよな!? やべ、恥ずかし……」
「どんだけ本気で走って来てんの。まだまだ余裕なのに……ははっ」
「~~っ、うっせぇ!
あぁーあ、心配して損したわ、ぼけ」
そう言って首に腕、回して
首を締めるには優しい強さで、くっついてくる。
笑え、俺。
この距離、まだ失ってないじゃんか。
だから、笑え。
優しくされた方が辛いんだよ、なんて
わがままな願望、捨て去って
今は、この距離を愛しく思いたい。

