切なそうに顔を歪ませるヒナに
驚きの表情を浮かべていると、ハッと我に返ったようにヒナが笑う。
「…とにかく。俺が答えたいんだ、弥生。
俺はね、ずっと弥生が好きだったんだよ」
「……嘘だ」
僕は忘れない。
あの拒絶の表情と言葉を。
僕を振り払った腕を。
話せなくなった、会えなくなった、あの2年間を。
「嘘じゃない。好きだよ、弥生ちゃん。
弥生だって、今でも俺を好きでしょ?」
……答えたくない。
だって、答えたら
君はまた、僕から離れていくじゃないか。
泣いている僕なんて、構いもせず……志望校も告げないまま、黙って消えちゃうじゃないか。
「……っ、ねぇ、黙ってないで答えて、弥生」
少し上ずった声で言われたって言葉が出ないよ、ばか。
涙と泣き声が邪魔して……言葉が出ない。

