少しだけ震えていたしょーたの手、握って、「もう、いないから大丈夫」だなんて。
意味が分からなかったけど
その言葉にしょーたが泣きそうになっているのが分かった。
あぁ……なんか、これって……
その雰囲気がすごく温かくて
それは、まるで……昔の僕とヒナみたいだ。
しょーた、郁馬よりも剛先輩のほうが似合ってるよ。
だって、剛先輩のこんな優しい表情を
僕は初めて見たのだから。
僕には冷たい言葉、浴びせたくせに
しょーたにだけは、そんな温かい言葉や仕草をくれる。
その理由を、僕は知ってしまった。
だから……
「……しょーたを、よろしくお願いします」
こんな弱ったしょーた見るのも初めてだから
剛先輩に任せることにした。
僕では、しょーたを救えない気がした。

