そんなとき、ふわりと体が
宙に浮かんで
顔を上げて溢れだしそうなものが一気に溢れた。
そんな僕に、また泣いてんの?、だなんて。
なんで君はいつも突然に現れて
僕を救ってくれるの。
「…陽向せんぱい」
「瑛知。いじめちゃだめだろ?
弥生ちゃんは俺の中学からの後輩なんだから」
ヒナに横抱きされて、足がぶらんぶらんして
麻痺したように痺れた。
……感覚がないや。
そんな自分の状態に小さく笑う。
どんだけヒナを譲りたくなかったんだよ、僕は……
「賭けは賭けです。陽向せんぱい?俺のになって」
「無理かな。俺は弥生のものだよ。今もこれからも」
それに不正の勝利ほど醜いものはないよな?、と瑛知に意味ありげに笑うヒナは俺を抱っこしたまま、歩いていく。
そんな僕たちを
瑛知はただ立ち尽くして見つめるだけだった。

