もう体育館には誰もいなかった。 片付けも済んでいるし、 他の生徒はHRなしでいつでも帰っていいシステムだし、みんなはクラスで談笑してるか帰ってると思う。 ただ、この体育館には 僕と瑛知と、瑛知の手の中にあるボールだけが存在していた。 「緊張かー……ちょっとはしてますね。 でも勝つ自信しかないっす」 「ふーん、自信家。ムカツクね」 どこかの誰かさんみたいだ。 そう思って小さく笑うと急に瑛知が手にもったボールを投げつけてきた。 瞬間的に反応したけど、手がヒリヒリする…。