悪態をつく僕とは裏腹に、ヒナは穏やかに笑って優しく僕を抱き締めてきた。
「…ちょっ、離し……」
「1on1やめとけ」
…なんで。
なんで、そんなこと言うの。
「…僕じゃ、えーちに勝てないっていうの」
「そんな怪我で戦ってほしくないって言ってんの」
「僕は平気。心配しすぎだよ、ヒナ」
ヒナの胸おして、引き離そうとすれば
さらに強く抱き締めて苦しくなった。
胸がじわりと温かくなって、切なくなる。
なんで、今さら君は優しくするんだろう。
なんで、あの時は
だめだったんだろう……
「ねぇ、ヒナ」
僕はね、ただヒナの傍にいることが……怖かったんだよ。

