《がんばれよ、瑛知》
《勝つのは瑛知じゃないかな》
ヒナが言った言葉を思い出した。
あと……瑛知のクラスと戦ったときも、瑛知に言われたっけ。
《陽向せんぱいは、俺に勝ってほしいんすよ》
転ける間際、冷めた口調で発せられた瑛知の言葉。
僕は勝ちたい。
だれにもヒナを渡さないために。
でも、もしも
ヒナが少しでも瑛知に勝ってほしいと望んでるなら……僕は
「ヒナは体育館に来ないで」
ヒナがいないほうが、いい。
「なんで?」
「集中できないし」
「あー、そっか。俺がいたらドキドキしちゃうもんな」
「……っ、ちがう!」
勘違いが激しい先輩にカッ怒りを含んだ声を上げる。
しかし、先輩は全く懲りてない。
「弥生ちゃんは、ほんとに俺が好きだよな」
またそうやって
僕をからかって、遊ぶ。

