「ヒナは、バスケの試合いいの?もう決勝、始まってると思うんだけど」
「あー…大丈夫だよ。俺がいなくても」
そう言ったヒナに、サボりかよ、と感じながら溜め息を吐く。
「ヒナがいないと負けちゃうよ、クラス」
女の子もヒナのこと応援してたじゃん。
頬赤らめて、ヒナばっか見てたじゃん。
そんな人達の期待に答えなくていいのかよ。
「…弥生ちゃんは、俺がいないと負ける?」
「…え」
「1on1。瑛知との戦いで、俺はいた方がいい?」
僕はヒナのクラスのこと言ってるのに、なぜかヒナは1on1の話をする。
いてもいなくても、どっちだって構わない。
でも、いてくれたなら……―――。
そこまで考えて、思考が止まり
過去を振り返る。

