それを見たヒナが意味ありげに笑う。
「…へぇ。浮気は良くないね、弥生」
「意味わかりません。付き合ってもないのに」
「じゃ、付き合ってよ」
「やだ」
バチバチと火花を飛ばす僕たちに
剛先輩が呆れたように溜め息を吐いた。
「ほんと仲いいのな~。ん、弥生はやるよ」
まるで、ゴミを捨てるようにだった。
ポイッと剛先輩が僕をヒナに差し出したのは。
ありがとう、とお礼を言うヒナは
がちりと僕の腕を掴んで、唖然としていた僕を離さない。
「剛先輩の裏切り者」
「ははっ、睨むなって。可愛いなー。
俺の脛を蹴りあげた仕返し」
まあ、がんばんな?と剛先輩は出ていってしまったので、必然的にも2人きりになってしまった僕たち。
……やだなぁ、もう。

