「…? さっきから弥生の言いたいことが分かんないんだけど」
「ん、わかんなくてもいいよー」
へらりと笑って、自然に郁馬から離れる。
よかった。
これで僕の話題からは逸らせたよね。
僕の怪我のことから、郁馬に話を切り換えれてホッと息をつく。
そのあと、ぼぉーとしながら
足のテーピングだけでもしておこうかなぁーて思い付いて保健室に足を運ばせた。
「失礼しまーす……て、誰もいないじゃん」
独り言を言いながら椅子に座り勝手に近くの救急箱をいじる。
本当は勝手に触っちゃだめなんだけど、バスケ部やサッカー部といった運動部は怪我が多いため、いちいち保健医に許可もらわなくてもいいよー的なことに自然となってる。
だから運動部が
保健室のものを物色しても、たいして叱られたりはしない。
僕も使ったりしたらメモとかに書いて机に置いとくし。
テーピング見つけて慣れた手つきで
ぐるぐる巻いて上手く巻けたことに笑みを溢す。
「…完璧っ」
「いや、ちょっと緩いだろ」
「……っ!?」
突然うしろから
声が聞こえて肩がびくりと震えた。

