「…それに、すっげー泣きそうな顔してる。
なにがあった?」




「剛さんに関係ないです」




「うわ、ひどっ!せっかく心配してるのに。どうせ郁馬くんに心にもないこと言われたんだろ?」



どうして、こうして
俺の事を知ろうとするのが、郁馬じゃないのかな。


どうして郁馬の好きなヤツが
俺の幼なじみなのかな。



どうして
俺は郁馬を好きになってしまったのかな。



どうして……



「なんで……郁馬のこと、嫌いになれないんだ…」




俯いたまま小さく呟いた言葉を
剛さんは一言も聞き溢さずにいてくれた。




「それだけ好きなんだろ?郁馬くんがヒドイ事を言ってきても諦められねーのは当然だ」



「……剛さんには、分からない」




「黙って聞け、あほ。
同性を好きになるってことは、それなりに覚悟がいるだろ?ちょっと気になるかもーだけで同性を想えるわけねー。好きを超えるもんがあるから、辛いんじゃねーの?」



わかったように言われるのは嫌いだ。


だけど、当たってるから何も言えなくて。