俺がお前を好きでいることを許して。
「あれ、誰かと思ったら翔太くんじゃん」
保健室から伸びる一直線の廊下から
明るい声が響いた。
「剛さん…」
「いやぁーあのあと、翔太くん走って逃げちゃったから、どうしたんだろって思ってたんだ!……大丈夫?」
「はい、大丈夫です」
知り合いに会えてホッとしたけれど、この人も俺の気持ちをあまり良く思ってないはずだ。
同性愛なんて、理解されない。
そんなの、もう分かってる。
すたすたと剛さんの真横を俯いたまま通り過ぎた。しかし、腕を掴まれてそれ以上先に行けないようにされてしまう。
「あのな、翔太くん。
俺と話したくないだけなら、いいんだけど。絶対なんかあったよな?」
「……」
「別に言わなくたっていいよ。郁馬くんのことだって分かるし」
剛さんは俺の心を見透かしたように
話してくるから嫌だ。
俺を理解するように言ってくるから、信じてしまいそうで怖い。

