嫉妬は恐ろしい。


好きな人に近づく全てのものが、嫌いになってしまいそうだから。




でも、本当に嫌いじゃなくて…


ただ、俺は




「ただ、俺は…郁馬が……」



「俺がなに?」



「……っ…」





ただ、俺は…郁馬が好きなんだ。




それだけなのに。

それだけが、すごく苦しい。




言ってしまったら今よりももっと、嫌われてしまうのだろうか……




「…はあ……もういい。とりあえず、翔太は出ていけ」



「……うん」




俺の上にいた郁馬がふわりと退いて
俺はやっと立ち上がることができた。



そして、俺は
ふらふらする足でドアへ急ぐ。




「鈴、ごめん」



それだけ言って、俺は
二人がいる保健室から出ていった。