左頬と一緒に心まで痛んだ気がした。
なんか、ぼーとする。
魂が半分だけ体から抜けた、みたいな感覚がする。
でも俺の視界には
確かに郁馬が映っていて、すごく怒っているのが分かる。
…あぁ、そっか……
「翔太、お前マジ最低だな」
俺が郁馬の好きな鈴を貶したからだ。
叩かれて、やっと正気を取り戻した。
あの、どす黒い感情はどこへやら。
郁馬に叩かれた瞬間どこかへ消えてった。
それよりも、今は郁馬のこと。
俺は、郁馬に嫌われた。
「い……く、ま……違…」
声が震えて上手く喋れない。
怖い。自分のどす黒い感情よりも
郁馬に嫌われることが。
「…なにが違うんだよ?
それが翔太の本心だろ。今まで、そんなこと思いながら俺の事、応援してたのかよ」
ちがう、ちがう!
そんなこと思ってない!
「てゆーか、俺に弁解するより、すーちゃんに何か言うべきだろ、フツー」
ちらっと鈴を見たら
少し傷付いた顔をしていた。

