「そんなん俺も同じだし。俺だってすーちゃんも翔太も大事だ。でも俺は、この状況から見て、すーちゃんを泣かせた翔太が悪いと思う」
それでも、俺を押し倒すくらい怒る理由があるだろ?
「…郁馬、吹っ切れたっていうの、嘘だろ?」
「……」
何も言わないのが答えだ。
なにが、吹っ切れた、だよ。
なにが、翔太のおかげ、だよ。
嘘つき。
「…なに、図星?」
もう嫌だ、イライラする。
なんで、俺じゃないんだよ。
「そんなヤツのどこが良いんだよ」
つい言い過ぎた。
でも気付いたときにはもう遅い。
あぁ、嫌われないように
郁馬の前では頑張ってきたのに。
バカだな、俺。
心の中で何度も後悔を繰り返すが
もう言ってしまった言葉は取り消せない。
パシンッ―――。
左頬に強い痛みを感じた。

