「わかった」
小さく笑って郁馬から離れる。
すると郁馬は静かに保健室から出ていった。
もう、郁馬いないのに……
まだ心臓がバクバク鳴ってる。
バカみたい。
自分ばっかりドキドキして。
郁馬は何も動じていなかったのにさ。
「……翔太?」
「ん?なに?」
「どうしたの?すごく辛そうだった…」
「……そんなことないよ。それより、鈴のほうは大丈夫?」
きっと俺が鈴を分かるように、鈴だって俺のことがわかる。
だから、誤魔化したって余計に怪しまれるから、話を逸らす。
俺の気持ちに踏みいるのは、いくら鈴でも許さない。

