「しょーた。」
「ふぎゃあっ!!」
急に後ろから強い力で抱き締められ、変な声が出た。
郁馬のこと見すぎて
後ろにいるヤツの気配に気づかなかったわ。
「へーんな声」
くすっと笑うのは、同期の男子バスケ部の弥生(ヤヨイ)。
「お前が驚かすからだろ!」
「ちがうよ。僕のせいじゃない」
ふわふわした喋り方に
女みたいな容姿。
男に見えないから、手が出せない。
いつもなら
腹くらい殴れるのに…っ!
「いーや!お前のせいだね!
つか、離れて」
離れろと言うと
逆に強く抱き締められる。
「ちがうよ。しょーたが郁を見すぎてたのが悪いんだよ」
「……」
「…あと、お前じゃなくて弥生ね」
耳元で俺にしか聞こえない声で甘く囁く弥生。
深い意味はないはず。
それなのに
なぜか……弥生にはバレてる気がする…

