これが、最後のチャンスだと思ったんだ。
だから、俺は……
「おーい、陽向ー」
空き教室から出てしばらく歩いてると、誰かの声がした。
「剛(ゴウ)…」
「こんなとこにいた~。弥生の試合始まんぞ!」
剛は小学校から今までずっと一緒の、幼なじみのような関係。
中学のころ、弥生ちゃんと剛でよく話したものだ。
だから俺の気持ちも、荒れてた頃のことも、みんなが知らないこと全部、コイツだけは知っている。
今の現状も、すべて。
「んー、行く」
「マイペースだなあ、お前は。
弥生の相手、強いって注目されてる1Bだぜ?」
あ、もう瑛知と戦うんだ。
それは見逃せない。
そして、俺は剛と体育館に向かった。
ねぇ、弥生ちゃん?
弥生ちゃんは、もう俺のこと幻滅してるのかもしれないけどさ?
俺は、もう後悔だけはしたくないんだ。

