「でも、俺が瑛知のものにならないように、弥生ちゃんには勝ってほしいな」
「……っ!!」
バッと俺の顔見上げた弥生ちゃん。
目が輝いているのがわかる。
弥生ちゃんには勝ってほしい。
俺を賭けた勝負なら、なおさら負けてなんてほしくない。
すると、弥生ちゃんは
俺に背を向けて
もうすぐ試合だから行く、と歩いていく。
でも、それでは終わらなかった。
ドアに手をかけて、そのままの姿勢で弥生ちゃんは俺に問う。
「もし僕が勝ったら……僕の質問に何でも答えてくれる?」
「…え?」
最初、意味が分からなかった。
しかし次の言葉でそれが、明らかになった。
「僕が勝ったら……答えてほしいんだ。質問にも、僕の気持ちも……」
そう言った弥生ちゃんは
俺の顔も見ないで逃げるように教室を出ていった。
…うっわあーやばい。
今のは。ちょっと……

