やば。説明できないし
このまま後輩にいじられるのも耐えられない。


そう思い、下を向くと


腕を引っ張られて
僕は瑛知から離された。



「こら、瑛知も弥生ちゃん虐めはだめ」



そう言って僕を引き寄せたのは、ヒナだった。
助けてもらったのには感謝はするけど、なんだか癪(しゃく)だ。



「えー、だって弥生せんぱいの彼女とか気になるじゃないっすか!どーせ陽向せんぱいは知ってるんでしょ?」



「まあね。でも弥生ちゃん虐めていいのは俺だけだし、触っていいのも俺だけだから」


にこり。
ヒナがいつものように笑う。けれど
少し怒っているのは
僕が瑛知に触られたからだろうか。




そんなヒナに
でも彼女さんには勝てませんよね、と瑛知が言えば、そうだね、勝つ気もないけど、とヒナが返す。


そうして変な空気が流れると
休憩時間に終わりを告げるホイッスルが鳴った。



鳴ると同時に瑛知は離れていき
僕もヒナの腕から離れた。