なにも答えられなかった。 そんな俺の代わりに 郁馬が答えてくれるからいいんだけど。 「やめてくださいよ、先生」 「ははは、言われたくなかったら授業中の私語は慎めよ」 「はーい」 笑う先生。 笑う郁馬。 笑うみんな。 ひとり笑えずにいるのは きっと この淡く切ない気持ちが邪魔をするからなんだ。 そんなことを考えて 小さく笑って 軋む胸をギュッと押さえつけた。