「あ、の……先輩?」
お気をお沈めください、ヒナ様っ…!
僕が青白い顔色になってくのを見て、くすりと笑ったヒナは僕の上着に手をかける。
「二人っきりのときは先輩って呼んじゃだめっていつも言ってんじゃん。……弥生。覚悟、決めな」
服を捲ろうとする。キスしようとする。
それ以上を企(たくら)もうとする。
やだ……
好きでもないくせに、そんな変な理由で
僕はヒナに体を委ねたくない。
こんなことになるのなら……いっそ……
「ひな……き、聞いて…?」
「…なにを? これ以上に俺を怒らせる気?」
ちがう。
もともと怒らせようと思ってもなかったし。
ただ、こんな形で
僕がヒナのものになってしまうのならね?
僕はプライドなんて、捨てる。
「ヒナ、好きだよ?
だから……これ以上は…やだよ」

