絶対に言わない。死んでも言わない。



だいたい、それ脅しになってないと思う。
だって……



「それで脅してるの?
そんなこと、真杉にされて慣れてるから」



慣れてるのは、うそ。
だけど、初めてじゃないことを伝えた。


真杉のは、もう、気持ち悪いほどだったからね。


へへ、これで僕が優位に立った。

勝ち気にヒナを見て、ヒナが脅し文句なくして焦る様を拝んでやろうと思った。



だけど………



「…は? なにそれ。そんな事されたなんて聞いてないんだけど」


ぎりっ。僕の手首を掴む力が強くなり
恐ろしい形相になっているヒナにびくりと震える。



あ、あれ…?
ヒナが助けにきたのに、どうして、知らないんだ?


そう思い、振り返れば
ヒナが助けに来たのはキスをされそうになった所であって、その前に僕が真杉に何をされていたか、見ていないのだと、今になって気づいた。



え、もしかして…
僕は自分から危険な道へ踏み出してしまった…?