ぽんぽん、と優しく頭を撫でられて
涙で視界がぼやけたままの目でヒナを見た。
「ヒナ…」
名前よんだら、ヒナは
いつものように笑って僕のおでこに唇を落とす。
「ほんとごめん。言いすぎたよな、俺……。
あぁー弥生ちゃんのことになると感情がそのまま出るんだよなー…」
謝って、そのあとは独り言のように
ぼそぼそと喋るヒナに
僕は首を傾げた。
…やっぱりヒナは
なに考えてるのか分かんない。
「あのさ、弥生ちゃん?
ちゃんと話すから……その、引かないでね?」
「……」
「俺はさ、弥生ちゃんが自分から誰かに抱きついていくのが許せなかった」
…はぃ?
抱きつく? 自分から?
そう思い、過去を振り返って
思い当たることが、ひとつだけあった。
「…しょーたのこと?」
しょーた以外には抱きついた記憶がない。
僕がおそるおそる尋ねると、当たりと言わんばかりに、切なく笑ってこくりと頷いた。
それと同時に
抱き締める力を一段と強めてきた。

