「うぅっ……くっ…」
さっきまでドキドキして
体が熱かったのに、嫌なことばっか思い出して涙が溢れた。
過去(まえ)と現在(いま)。
変わったこと。
女の人と僕の差。
終いには、ムカツクって言われるし。
僕の方がムカツいてるんだから……
どんなに頑張っても
君には追い付けない、そう思い知らされたんだ。
バスケも容姿も想いも……
すべてが君に届かない。不釣り合いすぎて笑えてくる。
自分が滑稽だ。
ぽたぽたと涙は溢すけれど、必死に泣き声は殺している僕に、ヒナは軽い溜め息を吐いてくる。
でも、それは呆れているんじゃなくて……
「……ごめん、弥生ちゃん。恐かったよね……もう何もしないから。だから……泣かないで」
ふわりと優しく抱き締められて、心が一気に軽くなるのを感じた。

