僕はね……辛かったんだ。
なにもかもが。
だから、僕は……――――。
ぐいっ!!
その瞬間、僕は後ろに引っ張られて
とん、と温かいものに包まれていた。
……せっかく、しょーたの気持ち探ってたのにー。
しかし後ろにいる人を見上げて
言葉を失ってしまった。
「ごめんねー、翔太くん。
弥生ちゃんと二人っきりで遊びたいから、もう行くわ」
…ぅあっ。怒ってる、ヒナ。
しかも、笑顔で怒ってるから相当キレてる。
びくっと背筋が凍るのを何とか堪えて
「せっ、先輩!? もうバッシューも買ったし、そろそろ帰―――っ」
そろそろ帰りましょう、そう言う前に
ヒナに口を塞がれた。手でね。
このまま、ヒナとバイバイして
しょーたと話そうとか、考えてたのになぁ。
「とにかく!郁馬の方も楽しんでるんだし俺らは行くな」
え、行くってどこへ?
「はい。わかりました。また部活で」
いやいやいや。
郁馬も、もうちょっと引き留めてよ。
なんだか少し泣きそうになった。

