自然に考えていることが、あまりにバカバカしくて途中で頭をぶんぶん振る。
どのバッシューにするかはヒナが決めることであって僕が決めることじゃないもん。
なんで僕まで
真剣にバッシュー選びしてるのか不思議だ。
きっと僕好みのオレンジのバッシューのせいだよね。あんなの見つけちゃうから、思考が狂ったんだ。
うぅーっとオレンジの靴、眺めて唸る。
そんな僕に気づいてヒナが近寄ってくるのに気づかないで。
「弥生ちゃーん、何して………へぇー良いじゃん、それ。弥生ちゃんも、こーゆうの好きなんだ?」
耳元でヒナの声がして驚いてビクつく。
……瞬間移動するのか、この人は。
たしかに僕好みだと思ったけど、それは僕が履くためってのじゃなくて。
そうじゃなくて。
「ちがう……似合うと思ったから……ヒナに」
「…え、もしかして俺のために選んでたの?」
「そっそんなんじゃなくて……っ。
ただ、オレンジ好きだったかなーて……っ!?」
言葉の途中で僕が固まってしまったのは、ヒナにぎゅっと抱き締められたから。
「…嬉しい」
ありがとう、弥生。だなんて。
本気で嬉しそうな顔して抱き締めてくるヒナに、驚いたから……。

