高校生にもなれば、そんなものだ。
小学生のころは
だれがだれを好きだとかでギャーギャーうるさかったけれど、今は大人の会話というのが、ようやく分かってきた。
「すーちゃんって意外にモテるからなー…」
「あー。だね。女子からも人気だし」
愛想がいいからな、鈴は。
そんなとき、郁馬が
俺の肩に手を回してきたので、俺はビクリと体を震わせた。
そんな反応に
プッと吹き出す郁馬に睨みをきかせた。
「くくっ…驚きすぎ」
「……うるさい。お前が急にくっつくからだろ」
「まーまー。今日の帰りアイス奢るから」
あぁ……ほんと。
コイツって残酷だよ。
残酷すぎて何も言い返せない。
「だから一緒に帰ろう」
「…俺に待ってろと?」
「え? 待っててくんないの?」
もう、待つことを前提にしたこの会話が、俺にとって嬉しいこと限りなくて。
つい笑みを溢していた。
「いいよ。待ってる」

